考えたことのまとめ

備忘録です

R-1グランプリ2023の感想を書きました。

R-1、ドキドキでしたね。
この時期が来ると今年も始まったなあと思います。地方勢なので地上波で見られる数少ない賞レース。ここから新しい一年が始まりますね。
さて、この度も色んな意味で世間を賑わせているRー1グランプリですが、今回も考えたことをまとめてみたいと思います。言語化に緩くお付き合いください。

 

 

ダークホース飛躍の大会、R−1グランプリ

猛者揃いのファイナリストの中、比較的メディア露出も少なめだった田津原理音さん。ラストイヤーのサツマカワRPG、Yes!アキト、各賞レースファイナリストのコットンきょん、カベポスター永見、若手大喜利覇者の寺田寛明など、本当に強い芸人がこぞりまくった中での優勝はなんとも言えない達成感がありますよね。
そう言えばR−1って初出場で優勝される方が多いなあと思いました。調べました。M−1が18回中9回(50%)、KOCが15回中9回(60%)なのに対して、R−1は21回中13回(約62%)になりました。この数字は初回大会も含まれるので厳密に言えばもう少し差があるのだろうと思います。ここからもR−1は他の賞レースより若干チャレンジがし易いのかな、と考えました。新しい芸人さんを発掘できるという意味では有意義な大会でもある、と思います。

 

 

ピンだからこその武器、フリップ芸

今回はピンネタの幅が広かった一方で、歌ネタ・リズムネタ0という異例のラインナップでした。昨年は優勝、準優勝ともに歌ネタでしたね。ピン芸人にとって強い武器じゃないかなあ、と思っていたのですが、もっと強い武器がありました。フリップです。
今回、8名中3名がフリップ芸でしたが、いずれも個性があり三者三様でしたね。その中でも際立って新しいフリップ芸の形を見せたのが田津原さんでした。
カードゲームという本来一部のファンしか分からなかったものがエンタメ化された今、ここを題材にしたのが非常に上手だと感じました。新しいエンタメを分かっている。これも一つの強みですよね。一本目、二本目ともにカードゲームのテーマは変わっていませんが、一本目はバトルゲームのカード、二本目はトレーディング用のカードと、微妙に異なるカードゲームの性質を上手く利用することができています。凄まじい着眼点ですよね。これは見ている側を完全に意識した結果かな、と思います。アイテム使いもとてもわかっていますよね。カードにもきちんとレアリティを施している芸の細かさ。デコられた硬質ケースやファイルが出てきたときは手を叩いて喜んだ方も多いのではないでしょうか。
また、カードに書かれている文言にあえて触れないことで説明くささを軽減させているのが見やすかったかなあと思います。ここも計算したのかな。だとしたらすごい。

 

 

「刺さる人に刺さる」を貫いた強さ

ふと思ったのが最終決戦で残った田津原さんとコットンきょんの対比でした。きょんがコントという分かりやすく誰でも笑える安定したネタを出してきたのに対して、分かる層が限られたカードゲームネタを貫いた田津原さん。審査もどちらを取るかで非常に悩まれたと思います。
結局軍配が上がったのは後者でしたが、ここで考えたいのが「刺さる人に刺さる、だけでなく本来刺さらない人も取り込んだ強さを持っていた」という点です。
歴代の王者は比較的「分かりやすさ」が実を結んだと思うのですが、今回は上手いこと自分の世界に見る側を取り込んだのかな、と感じています。本当にレアリティのあるカードが当たった時の表現が妙にリアルでした。この絶妙なリアリティが、本来あまり刺さらないであろう審査員の票を集めたのかな、と思います。

 

 

個人的に好きなネタ2選

①寺田寛明「ことばレビューサイト」
日本語の面白さネタ大好きなので否応なく刺さりました。付和雷同の「雷」をピックアップするのが良かったです。ステッカー交換の文言も良かったですね。一番笑ったのは「梨すき(^^)」です。過呼吸になるかと思いました。ことあるごとに使いたいですね。

②カベポスター永見「世界で一人は言っているかもしれない一言」
大喜利系ネタですね。一言一言の重みが大変心地よかったです。一番好きなのは「お仏壇の蝋燭でマシュマロ焼きなさんな」です。文末の「なさんな」が味わい深いですね。文学性が滲み出ています。最後の「君の自由研究のせいで、この街はどうなったと思う!?」も、物語性があって面白かったです。このセリフが用いられた映画かなんかが出来上がったら、教えてください。
これは個人的なツボなのですが、BGMがショパンノクターンOp.9−2なのが非常に良かったです。クラシック音楽で一番好きな曲です。ノクターンOp.9−2のノスタルジーとエモーショナルさが、永見くんの言葉の選び方やセリフの発し方と上手く噛み合っていましたね。最高です。感謝。

 


色んな評価があるけれど

R−1は色んな点から賛否両論がありますが、まずは演者さんや制作に携わった方々に感謝をお伝えできたらな、と思います。本当にお疲れ様でした、最後まで頑張ってくださり、ありがとうございます。ご自愛ください。来年はもっと良い大会になるよね、ハム太郎